【高橋昌之のとっておき】疑問だらけの16日付朝日新聞社説 (1/4ページ)

エドハーディー 9月の民主党代表選で菅直人首相は再選されるのかどうか9月の民主党代表選で菅直人首相は再選されるのかどうか

 16日付朝日新聞の社説「党首選のあり方 政権交代時代に合わない」を読んで、その論理があまりにも疑問だらけで、驚いてしまいました。社説といえばその新聞社の「主張」で、ベテランの専門記者である論説委員が会議などを経て執筆にあたりますが、とてもそうは思えない論理展開でしたので、今回はその社説を引用しながら、私の見解を述べたいと思います。

 社説では「民主党代表選が行われる前に、党首の選び方のそもそも論を考えておきたい」と前置きし、「今回の民主党代表選になにか釈然としない思いを抱く人も少なくないと思う」としたうえで、2つの疑問を提起しています。

 第1の疑問は「新代表が首相になる。毎年のように首相が代わったあげく、今度は3カ月でお払い箱か。こんなに短命政権続きで日本は大丈夫か」というものです。

 確かに、政権の不安定な状態が続いていることは、国内的にも国際的にも良くないことですが、私はその最大の原因が党首選にあるとは思いません。自民党政権時代の安倍晋三、福田康夫両元首相は、参院での過半数割れで政権運営が困難になったことを理由に、自ら辞任しました。鳩山由紀夫前首相の辞任も、社民党の連立離脱で参院選を前にして、参院で問責決議案が可決されそうな危機的状況に陥ったためです。

 これに限らず、宇野宗佑、橋本龍太郎の両元首相も参院選敗北の責任をとって辞任しました。つまり、日本の首相を短命にしてきた最大の要因は参院にあるといっていいのです。少なくとも平成になってから、党首選で敗れたために首相を辞任したケースはありません。朝日新聞社が首相の短命が問題だと考えるなら、参院改革こそ取り上げるべきではないでしょうか。

 社説が示した第2の疑問は「菅氏は先の参院選で敗北しても首相を辞めなかったのに、なぜ一政党内の手続きにすぎない投票の結果次第で首相を辞めなければならないのか」ということです。

 しかし、菅直人首相が参院選で大敗してもその直後に辞めなかったのは、まさに9月に代表選があり、そこで党内の審判を受けるということが前提だったからです。9月に代表選がなかったら、参院選直後に党内から責任を求める声が巻き起こって、すぐに辞任に追い込まれていたかもしれません エドハーディー キャップ